農業が好きですか?
栽培品目/小松菜、ほうれん草、春菊
原田 剛 さん
農家に転身されたきっかけを教えてください。
若い頃から農業を手伝っていました。父親が病を患ったことをきっかけに、父が守ってきた農地を守らなければならないという思いと、このまま継がないのはもったいないなという思いがありました。また、同級生が先に就農していたと言うのも1つのきっかけとなり、本格的に農家に転身しようと決意しました。
農作物に葉物野菜を選んだ理由
父親は、きゅうりを育てていました。それを見ていて、きゅうりはつきっきりで世話をする必要があり大変そうだと感じたので、きゅうりではない作物にしようと考えました。また、父親とは違う農作物を育てたいという思いがありましたので、何が自分に合うのかを探すため、就農当初は小カブや水菜など約20種類の農作物を育ててみました。そのなかでも葉物野菜は、種を播き、育てて収穫すると全て出荷でき圃場がリセットできることや、年間を通して安定した収入が見込めることなどから、小松菜・ほうれん草等を主に栽培することにしました。
葉物野菜を育てる魅力
葉物野菜の魅力は、1つ目は、収穫・調製作業が午前中に終わるので自分の時間を確保できることと、年間を通して収入が安定していることです。また、私の場合は個人契約で学校給食用に出荷しているので、1つ1つの袋詰め作業がなくコンテナで納品できるので助かっています。2つ目は、栄養価も高く、離乳食に用いられるなど、子どもから大人まで食べられることが魅力だと感じます。
就農当時を振り返って苦労したことはありますか?
就農当初、約20種類の農作物を育て、小松菜・ほうれん草に辿り着くまでの試行錯誤が大変でした。時間もかかりましたし、その間の収入も不安定でした。最初の1、2年は、しんどかったですが父親の後を継いだおかげで借入がなかったことは助かりました。
地域との関わりや組織での役割
防府市農業公社の作業委託班へ登録し地域の稲刈りなど保全管理の作業を受託しています。また、農協の役員、商工会議所青年部の活動などもしています。就農当初は、自分の経営を成り立たせるので精一杯でしたが、余裕が出てくるにつれて少しずつ活動の幅が広がりました。
指導し育成する立場になり思うことはありますか?
私の場合は、父親の後を継ぎましたが、新規就農で借入をして1から農業を始めることは本当に大変だと思います。ただ就農するからには、とことんやってほしいなと思っています。
また、就農後、研修などに参加する場合は何か1つでも良いので吸収して帰って欲しいです。素直に先輩の話を聞き受け入れる姿勢が大切だと思います。
学校で学んだことだけに捉われる事なく、学校で学んだ基礎を生かしてその土地に合った栽培方法で作物を育てることが大切です。例えば、同じ防府市内でも場所によって土壌の環境は違うので、自分の知識だけで幾ら努力しても上手くいかない場合もあります。そんな時は、先輩農家の意見を参考に、色々と試してみることも大切だと思います。
今後の展望や目標
耕作放棄地が増えてきているので、葉物野菜だけに限らず、他の作物を取り入れながら、地域で組織を作るなど、耕作放棄地の問題をなんとか解消できないかと考えています。
就農において重要なこと
私の場合は、農業をしている親の背中を見て育っていますが、非農家で初めて就農される方は、“農業が好き”であることが一番重要だと思います。
慎重になり深く考えることも大切ですが、ある程度、楽観的に物事を考えるくらいの方が良いと思います。自分一人では限界があるので、上手くいかない時は、先輩農家や農協の指導員に相談し意見を参考にするなどして、周りに助けてもらいながら成長していかれると良いと思います。
また、経営者という点で、周囲の農家へ「俺も負けられない」といった気持ちを持つことも必要です。ライバルから見て学ぶ、そしてまたライバルも自分から見て学ぶ、そのように切磋琢磨することで成長して欲しいです。
農家を目指す方へアドバイスをお願いします。
覚悟をもって就農された方が良いと思います。時間は自由ですが、自己管理はしっかりとされてください。家族でやるのであれば、手を取り合ってやっていかれると良いと思います。
様々な場所へ顔を出して仲間を作っていくことも重要で、そこでの情報交換などは役に立ちます。一番良いのは、農協の組織に所属してコミュニケーションを取りながら、先輩農家からのアドバイスを素直に聞き、学校で学ばれた基礎にプラスアルファされていかれることをお勧めします。就農地の特性を理解する、わからない場合は一人で考えないで、先輩農家に聞きながら、競争心を持って、農業に取り組まれてください。