拓け!!ほうふ農みらい

先輩農家インタビュー

目的、夢、思いをはっきり持つ

栽培品目/水稲、施設園芸(花卉)

藤井 伸昌 さん

株式会社八十八夜のことを教えてください!

水稲20ha、施設園芸(花卉)0.2haを防府市佐野小島地区で生産しており、昨年(令和元年)法人化し、現在、従業員1名、パート2名雇用しています。まだまだ駆け出しで本格的な事業展開はこれからです。

 

社名『株式会社 八十八夜』の由来は?

八十八夜の別れ霜という言葉もあるように、八十八夜は、昔から霜が降りなくなって本格的に農作業を始める時期のことです。また、米という漢字は八十八からできており、米を作るには八十八の作業が必要とされています。さらに、八十八夜(5月2日)は私の誕生日です。社名にふさわしい名前だと思って名付けました。

 

法人化のきっかけは?

今後、農家の高齢化が進み、営農を断念したり離農される方が増えていきます。誰かがその農地を守っていかなければなりません。その時に安心して任せてもらえるように、しっかりした継続性のある組織にしておきたかったからです。また、労働力を確保するためにも労働環境を整備する必要がありました。今の経営内容での法人化は課題も多かったですが先を見据えて決断しました。

 

 

藤井さんが農業を始めたきっかけを教えてください!

大学を出て14年間サラリーマン生活を送りました。38歳の時に「人に使われるのはもういいかな。自己責任で完結する仕事をしよう。」と思い退職を決めました。農家の長男だったのでいずれは帰らねばとは思っていましたが、農業に特段の思いがあったわけではありません。ただ、生活の糧を得る手段として農業を選んだだけでしたが、ただ、絶対に逃げ出さない覚悟はもって始めました。子供のころに多少手伝いはしていたものの、農業に関しては全くの素人でしたが、サラリーマン時代の給料くらいにすぐ稼いでやるというつもりでいました。なめてかかった部分もあったので実際始めてみると、現実はそう甘くなかったです。

 

お花は最初から栽培されていたんですか?

両親は水稲と露地野菜(大根、ゴボウ)をしていましたが、私は、天候に左右されにくく、周年で収入が得られ、付加価値の高い等の理由から施設園芸(花卉)を選択し、両親とは別で経営を始めました。

 

 

 

就農当初はどうでしたか?

当時はバブルが崩壊したもののまだその名残があり、比較的花の需要はありました。農業に関して全くの素人の私が施設園芸(花卉)をやりたいと相談すると、市、JA、山口農林水産事務所の皆さんが親身になって協力してくださいました。特に資金融資において利子補給いただけることが大変有難かったし、返済についても据置期間を設けていただき、その期間に規模拡大できたのも大きかったです。

栽培については、近所の先輩農家さんに大変お世話になりました、教えられたとおりに管理すると大変良いものができました。自信満々で市場に出荷しましたが、花の需要が少ない時だったようで、値段は期待外れでした。この最初の経験がその後の経営戦略の柱になりました。“需要期に収穫時期を合わせる技術を磨く”現在も実践しています。

 

 

水稲はいつから始められたのですか?

15年くらい前、農業委員になってからです。父親が農業委員をやっていましたがやめることになり、周囲に後継として推薦され、同時に自宅の水稲栽培も任されました。それまで施設園芸一本だったので、地域農業の実情はあまり理解できていませんでしたが、委員会活動をしていくなかで少しずつ地域の現状・課題が分かってきました。農地の耕作者を探してほしいという依頼も増えてきましたが、なかなか期待に応えることが出来ませんでした。危機感を持つと同時に、責任を果たせない自分が情けない思いもあり、最終的には自分が出来る限り引き受けようと決意しました。2haから毎年増えていき、現在20haになりました。完全に経営の柱は施設園芸から水稲栽培に移りましたので、今後も増えていくでしょう。

 

 

農協関係組織で役を多く担っておられますが、思いを聞かせてください。

特に思いがあって就いた訳ではありませんでした。色々な農業関連組織の世代交代が進む時期に私たちの年代は限られていたので、たまたま私に声がかかったんです。それでも、引き受けたからにはしっかり責任を果たそうと思っています。

 

従業員の育成や、組織の関わりのなかで育成する立場になって思うことはありますか?

農家の高齢化が進むなか、担い手の確保や育成を進めていくことが全てだと思います。そうでなければ地域の農業、農地、コミュニティを守ることはできません。色々な形で農業に関わってくれる人を育てないといけないと思います。農業が好きでいつかは農業したいと思っている人、生活するための手段として農業で生計を立てたいと強く思っている人、本業は他に持ち週末に農業をしたい人、自給自足の暮らしをしたい人など、それぞれの夢や思いを叶えるために農業を始めてほしいと思いますし、関係機関もその思いを確認し、理解したうえで支援していくことが大切だと思います。

 

 

今後の目標・展望を聞かせてください!

法人化した時からこの地域の農地(約60ha)は私が担う気持ちでいます。自分がやりたいという人が他にいたら一緒にやりたいし、そのためにも圃場整備をしていきたいです。地域の皆さんとしっかりと話し合いながら進めていきたいと思っています。

 

就農において重要なことは?

なぜ農業をやりたいのか、目的、夢、思いをはっきり持つことですね。農業の置かれている環境は大変厳しい状況ですし、傍から見るほど甘くはありません、しっかりとした信念を持たないと続きません。

 

 

農業に興味がある方、就農を目指す方にアドバイスをお願いします!

今、関係機関がしっかり連携し、支援する体制を整えています。それは地域の農業や農地、地域そのものを守るために力になってくれる人を必要としているからです。色々な形で農業に関わってほしいと思います。“地域に溶け込む努力を惜しまない人”を待っています。

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